回復期のリハビリテーションの目的

回復期リハビリテーションは、大腿骨頚部骨折や脳血管性疾患などのケガや病気で入院治療し急性期を脱した方などが、回復が特に期待できる時期に、集中的にリハビリテーションを実施することによって、心身ともに可能な限り健康な時の状態に近づけ、在宅や社会復帰していただくためのものです。そのため回復が効果的に見込める期間として、病名とケガや病気を発症してから入院するまでの期間が「発症後又は手術後2か月以内」とか「損傷後1か月以内」と明確に決められています。

回復期リハビリテーションに関わる専門職種

回復期リハビリテーションでは、「日常生活動作向上」、「寝たきりの防止」、「在宅復帰・社会復帰」を目的として、患者さんそれぞれに合った、オーダーメイドのリハビリテーションプログラムを立て、実施していきます。
リハビリテーションプログラムは、医師、看護師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、介護福祉士、社会福祉士、管理栄養士、薬剤師、歯科医師、歯科衛生士などの職種の専門職スタッフが、患者さんご自身、そしてご家族とも一緒になって進めていきます。
医療チームの各担当スタッフは、患者さんの入院後すぐに、寝たきりにならないよう、食べる、飲み込む、起き上がる、歩く、トイレへ行く、お風呂に入るなどの「日常生活動作(ADL)」への積極的な働きかけを行い、改善を図り、在宅や社会への復帰を支援します。

●医師

主治医は、医学的な治療や管理を行います。また、リハビリチームにおけるリーダーとして、各職種の意見を取りまとめたり、各職種との話し合いの中で決定したことを患者さんやそのご家族の方に説明したりもします。

●看護師

看護師は、全身状態を観察し、合併症などの早期発見や予防に取り組みます。また、患者さんの日常生活全般の補助もしながら、安心してリハビリを進められるよう、医師・リハビリスタッフ等と連携をとっていきます。

●理学療法士(PT)

理学療法士(PT)は、「寝返りをする」、「起き上がる」、「立ちあがる」、「歩く」など、『基本動作能力』の獲得と、「階段を上ったり下りたりする」、「屋外に出て歩き回る」など『応用的移動能力』の獲得を目標にしていきます。さらに、前述のような訓練以外に、「食べる」、「入浴する」、「トイレに行く」などの場面のケアで介入し、生活ということに目を向けてリハビリテーションを進めていきます。

●作業療法士(OT)

作業療法士(OT)は、「在宅や社会復帰」を目標として、「食べる」、「着替える」、「身支度をする」、「入浴する」、「家事をする」など日常に必要な活動の指導や訓練を行って、身体機能、精神機能、高次脳機能の回復を図っていきます。

●言語聴覚士(ST)

言語聴覚士(ST)は、「言葉を思い出せない」、「話せない」などの方にはコミュニケーションが取り易くなるような工夫をしたり、「食事がスムーズに食べられない」といった方には、嚥下機能を評価したうえで、安全に食べられるように訓練をしていきます。

●介護福祉士

介護職スタッフは、看護師と同様に、患者さんの「食べる」、「飲み込む」、「着替える」、「トイレに行く」、「入浴する」などの生活の基本のお手伝いをします。また、患者さんの精神面の変化などにも気を配りながら、他の専門職スタッフと情報共有をしていきます。

●社会福祉士

医療相談員は、回復期リハビリテーション病棟への入院のご相談を受け付けたり、また、入院中のこと、退院後の生活のこと、介護のこと、経済的なことなど様々な課題に対して、患者さんやそのご家族の方と解決策を考えたり、様々な制度などをご案内させていただき、負担を少しでも減らすことができるようサポートしていきます。

●管理栄養士

管理栄養士は、患者さんの栄養状態を評価し、嗜好や嚥下機能などを考えた栄養プログラムを作ります。食事の様子、摂取の状況を観察し、患者さんお一人おひとりに合った食事を用意し、栄養状態の改善や嚥下機能の改善を図っていくための支援をしていきます。

●薬剤師

薬剤師は、患者様さんお薬の調剤と管理を行っていきます。

●歯科医師

歯科医師は、歯科検診を行ったり、治療の必要や、希望があれば治療を行います。摂食嚥下チームとして関わります。また訪問歯科診療も行い、入院中に治療が終わらなかった場合の継続治療にも対応しています。

●歯科衛生士

歯科衛生士は、摂食機能障害を有する患者さんに対して食べる訓練を行います。また,入院時に口腔内のチェックも行っており、口腔内の衛生状態を保つ様に、口腔ケアなどでサポートします。